自社予約比率の出し方と目安——OTA依存度を数字で把握する
「予約サイトへの依存を減らしたい」という話は、たいてい感覚から始まります。ただ、いま何割が予約サイト経由なのかを即答できる宿は多くありません。数字が出ないと、改善したかどうかも分かりません。
この記事では、自社予約比率をどう出すか、出した数字をどう読むかを整理します。
計算そのものは単純
自社予約比率は、公式サイトと電話など自館が直接受けた予約を、全体で割ったものです。
- 自社予約比率(件数ベース)= 直販の予約件数 ÷ 全予約件数
- 自社予約比率(売上ベース)= 直販の売上 ÷ 全売上
難しいのは計算ではなく、分子と分母の定義を決めることのほうです。ここを曖昧にすると、月によって数字が動いた理由が分からなくなります。
先に決めておく3つの定義
1. 何を「直販」に数えるか
公式サイトの予約エンジン経由は当然として、電話、メール、リピーターからの直接連絡をどう扱うか。手数料が発生していないという意味では同じ直販ですが、Webの改善効果を測りたいなら、公式サイト経由だけを別に取っておく必要があります。
おすすめは、両方を出しておくことです。「直販全体」と「公式サイト経由」の二本立てにすると、施策の効果が切り分けられます。
2. 件数で見るか、売上で見るか
件数と売上は一致しません。予約サイト経由は単価が低いプランに寄りがちで、件数では大きく見えても売上では見え方が変わることがあります。手数料の負担を測るなら売上ベース、集客経路の広さを測るなら件数ベースです。
3. いつの時点で数えるか
予約が入った月で数えるのか、宿泊した月で数えるのか。キャンセルをどう扱うのか。ここを決めておかないと、前月との比較ができません。特に季節性の強い宿では、予約時点と宿泊時点で数ヶ月ずれます。
目安をどう考えるか
「何割が適正か」という問いには、一般的な答えがありません。立地、客層、価格帯、リピーター比率によって、現実的な水準がまるで違うためです。新規のお客さまを予約サイトで集めている宿と、リピーターが中心の宿では、目指す形が異なります。
他館と比べるより、自館の前年同月と比べてください。判断できるのは「上がったか、下がったか」だけで十分です。水準そのものより、動いている方向のほうが意味を持ちます。
数字が動かないときに疑うこと
施策を打っても比率が動かない場合、原因は次のどれかであることが多いです。
- 公式から予約する理由がない——同じ部屋が同じ値段で予約サイトにも並んでいる
- 公式サイトにたどり着けていない——そもそも見られていない
- たどり着いたが予約まで進めない——スマートフォンで完結できない
- 全体の予約が増えて、比率としては変わっていない(この場合、直販の件数自体は増えている)
最後のものは見落とされがちです。比率だけを見ていると改善していないように見えるため、直販の実数も一緒に記録しておいてください。
比率を上げる前に整えておきたいことは、自社予約を増やす前に確認しておきたい5つのこと
まず一度、出してみる
毎月きれいに集計する体制を作る必要はありません。まずは直近1年分を一度出して、いまの水準を知るところからで十分です。そのうえで、四半期に一度でも追えれば、判断には足ります。