指標の見方

客室稼働率とADR——宿がまず見るべき指標の基本

稼働率が上がったのに、利益が増えていない。そういうことが起きます。原因は多くの場合、稼働率だけを見て判断していることにあります。

宿の状態を掴むには、最低でも3つの数字を並べて見る必要があります。

3つの指標

客室稼働率(OCC)

販売可能な客室のうち、実際に売れた割合です。売れた客室数 ÷ 販売可能客室数で出します。改装中の部屋を分母に含めるかどうかは、先に決めておいてください。

平均客室単価(ADR)

売れた客室1室あたりの平均単価です。客室売上 ÷ 売れた客室数。売れた部屋だけが分母になる点が、次のRevPARとの違いです。

販売可能客室あたり売上(RevPAR)

稼働率とADRを掛け合わせたもので、空室も含めた全客室あたりの売上です。RevPAR = OCC × ADR、あるいは 客室売上 ÷ 販売可能客室数。宿の稼ぎ方を一つの数字で見るなら、これになります。

稼働率だけを追うと起きること

稼働率は、値段を下げれば上がります。極端に言えば、原価を割る価格で売れば満室にできます。ところが売上も利益も減ります。稼働率という指標には、この方向のバイアスが最初から入っています。

たとえば稼働70%・ADR2万円なら、RevPARは1万4千円です。ここで値下げして稼働85%・ADR1万5千円になったとすると、RevPARは1万2,750円。稼働は15ポイント上がったのに、売上は下がっています。

どちらを動かすべきか

一般論として、稼働率が高い状態で単価を上げるほうが、稼働率を上げるより利益に効きます。すでに埋まっている部屋の単価を上げても、追加のコストはほとんど発生しないためです。

目安としては、稼働に余裕がない時期は単価を、余裕がある時期は稼働を見ることになります。同じ宿でも、繁忙期と閑散期で打つ手が逆になるということです。

  • 繁忙期に高稼働——単価を上げる余地がある。値引きプランを絞る
  • 繁忙期に低稼働——見せ方か価格に問題がある。まず原因を切り分ける
  • 閑散期に低稼働——稼働を取りにいく時期。企画や平日プランで埋める
  • 通年で高稼働・低単価——値付けを見直す余地が最も大きい

経路別に分けて見る

全体のADRだけを見ていると、判断を誤ります。予約サイト経由と公式サイト経由では、単価もプランの構成も違うことが多いためです。

経路別にADRを出すと、公式サイト経由のほうが単価が高いという結果になることがあります。その場合、公式の比率を上げることは、手数料の削減と単価の向上を同時に進めることになります。

経路別の把握については、自社予約比率の出し方と目安——OTA依存度を数字で把握する

毎日見る必要はない

これらの指標は、月次で追えば十分です。日次で見ると細かい変動に振り回されます。月ごとにOCC・ADR・RevPARの3つを並べ、前年同月と比べる。それだけで、いま何を動かすべきかの見当はつきます。

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